堀川紀夫の美術教育実践

小中学校で合わせて38年間務めました。この間に積み上げてきた美術教育あるいは美術教育の良さを生かした実践例を全国の若い先生方に伝えたいと願って公開していきます。

The Shinano River Plan 11

 
The Shinano River Plan 11
 
前山忠さんに送った〈石〉の写真。1969年の11月くらいに前山さんの当時、勤務在住していた須原村の写真家に撮影してもらったものである。
 
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富井さんが2014年6月に松沢宥さんのψの部屋で発見。富井さんが撮影した写真。大切に保管されていて感動。その後、この作品は2019年のNYのJapan Societyでの荒野のラジカリズム展に出品された。
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自分のところに送った一個の石の他に〈石〉の行為を語る証となるものが ないので、自分の中にある記憶と写真などでカードを作成した。送付相手の氏名は学校のタイプライターを使用した。中原さんの佑介と松沢さんの宥の活字がなく空白にした。石の重さは300g、送料は120円。コラージュされている自作コメントは8月9日に発行された生徒会誌に寄せたものである。
このカード作成の日付は8月25日になっている。作成を始めたのは、〈石〉を自分の作品として継続していこうと決意したからである。この数日後にThe Shinano River Plan-11-2を行い10名に送ることになる。このカードの形式は瀧口修造デュシャン語録」のの巻頭に綴られた荒川修作のオマージュ作品を模倣した。
これには、7月21日の夕方に一緒に河原で石を採取した高校一年の樋熊将夫と越村克久の署名がある。このカードへの記載は10月11日付け。
 
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自伝より 

同月(8月)に、最初の石の郵送相手の一人である前田常作糸魚川市展へ審査員にこられ、そこに同種の作品を出品し、受賞という評価と助言を得ることができ、自分の中でこのメール・アートの成功を確信し、シリーズ作品としての展開を決意した。

8月末に荷札にタイトルを「The Shinano River Plan」と記載して、新たな10名に送付。すると予想以上の反響があり2ヶ月後の美術手帳11月号の李禹煥論文「観念の芸術は可能か」にコメント、作品写真、タイトル,作者名入りで取り上げられた。